ガルフストリームの3歳戦4鞍

暗澹たるニュースが入っていますが、めげずにいつも通りの競馬日記を続けます。
さて昨日のアメリカは、フロリダとテキサス、東海岸の3つの競馬場でG戦が行われました。今週は西海岸のG戦はお休みです。

今日は最初にタンパ・ベイ競馬場のタンパ・ベイ・ステークス Tampa Bay S (芝GⅢ、4歳上、8.5ハロン)を取り上げましょう。この競馬場でG戦が行われるのは年初の3か月間で、ダービーとオークス、それにこのレースが目玉となります。good の馬場に2頭が除外となって12頭立て。年末のトロピカル・ダービーを含めて3連勝中のスカイ・フライト Sky Flight が6対5の1番人気。
レースは6対1のスーパー・ソルジャー Super Soldier が逃げ、スカイ・フライトが2番手を追走。本命馬が内から抜けて先頭に立った所に4番手から外を通って追い込んだ2番人気(4対1)のロクティー Lochte が並び掛け、更に外からは6番手を進んだ伏兵(24対1)オールド・タイム・ホッケー Old Time Hockey が襲い掛かって写真判定。結局真ん中のロクティーが外のオールド・タイム・ホッケーを頭差抑えて優勝、スカイ・フライトは首差の3着でした。連覇を狙った去年の勝馬ガイズ・リワード Guys Reward は、前年同様後方からの追い込みに掛けましたが7着まで。
マーカス・ヴィターリ厩舎、負傷したボカチカに乗り替わったパコ・ロペス(同馬には初)が騎乗したロクティーは、去年2月のガルフストリーム・パーク・ターフ・ハンデ(芝GⅠ)以来ほぼ1年振りの勝利。前走は今月10日のフォート・ラウダーデール・ステークス(芝GⅡ)での5着でした。

続いては同じフロリダから、ガルフストリーム・パーク競馬場で行われたG戦4鞍。全て3歳馬のレースで、各馬とも将来を見据えた試走でもあります。先陣を切ったのは、7ハロンのハッチェソン・ステークス Hutcheson S (GⅢ、3歳、7ハロン)。去年は2月初めに行われましたが、今年は他のG戦と同日。以前はGⅡでしたが、去年からGⅢに格下げされています。fast の馬場に2頭が取り消して6頭立て。前走1月3日に同じガルフストリーム・パークで一般ステークス(スペクタキュラー・ビッド・ステークス)に勝ったバルベイドス Barbados が3対5の1番人気。
2番人気(3対1)のエックス・ワイ・ジェット X Y Jet が逃げ、これを相手と見たバルベイドスが2番手でマーク。直線、予想以上にエックス・ワイ・ジェットが粘りましたが、最後はバルベイドスが半馬身これを捻じ伏せて人気に応えました。3着は7馬身半の大差が付いて最低人気(40対1)のビッグ・ファミリー Big Family 。
マイケル・トムリンソン厩舎、ルイス・サエズ騎乗のバルベイドスは、最初の3戦はケリン・ゴーダ―厩舎に所属していた馬で、現オーナーが購入してトムリンソン師の管理下に転じたもの。前厩舎での3戦目で初勝利を上げたあと、新天地で連勝して通算では3連勝でG戦初勝利となりました。

二つ目は余り聴き慣れないスイーテスト・チャント・ステークス Sweetest Chant S (芝GⅢ、3歳牝、8ハロン)。新設されたG戦ではなく、今年からGⅢに格上げされることになった3歳牝馬の芝戦で、今年が19回目に当たるそうです。firm の馬場に10頭立て。目下2連勝のコンシューマー・クレジット Consumer Credit が9対5の1番人気。
レースは4頭が先手を争う流れから、3番人気(3対1)のミス・テンプル・シティー Miss Temple City が先頭。これを2番手で追走した2番人気(2対1)のクオリティー・ロックス Quality Rocks が捉えに掛かると、4番手に控えたコンシューマー・クレジットが大外を一気にスパートし、クオリティー・ロックスに1馬身差を付ける快勝。頭差でミス・テンプル・シティーが3着に入り、人気順通りの結果で収まりました。
勝馬を管理するチャド・ブラウン師は、このレース4連覇。エドガード・ザヤスが騎乗していました。上記の様にコンシューマー・クレジットは去年10月、3戦目にベルモントの芝コースで初勝利を挙げ、続くガルフストリーム・パーク・ウエストの芝で一般ステークス(ワッタ・ワイル・ステークス)に連勝、3連勝でG戦初勝利を飾りました。

この日三つ目の3歳G戦は、去年からGⅡに格上げされたホーリー・ブル・ステークス Holy Bull S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。ハッチェソンが7ハロンなのに対しこちらは1マイル16分の1。ダービーへのポイント対象で、1着から4着まで夫々10-4-2-1ポイントが加算されます。ハッチェソンに回った馬が取り消し、逆にハッチェソンを取り消してこちらに参戦した馬を含めて9頭立て。前走アケダクトのレムゼン・ステークス(GⅡ)で2着したフロステッド Frosted が3対2の1番人気。
逃げたのはハッチェソンと二重登録していた3番人気(3対1)のブルーグラス・シンガー Bluegrass Singer 、これを2番人気(2対1)のアップスタート Upstart と4番人気(13対1)のファースト・ドーン First Dawn が並んで追走し、フロステッドは4番手待機。しかし直線に入るとアップスタートが独走態勢に持ち込み、追走するフロステッドに5馬身半差を付ける圧勝劇。2馬身4分の1差でブルーグラス・シンガーが3着に粘りました。
リチャード・ヴィオレッタ厩舎、ホセ・オルティス騎乗のアップスタートは、前走BCジュヴェナイル(GⅠ)3着以来の競馬で、その前はシャンペン・ステークス(GⅠ)でも2着していた馬。8月15日にサラトガでデビュー勝ちし、続く一般ステークス(ファニー・サイド・ステークス、サラトガ)も連勝しており、通算で5戦3勝2着1回3着1回。入着は何れもGⅠ戦と、クラシックを狙える1頭でしょう。

ガルフストリームの最後は、牝馬のフォワード・ギャル・ステークス Forward Gal S (GⅡ、3歳牝、7ハロン)。ホーリー・ブルと同じように、1着から4着まではオークスに10-4-2-1ポイントが付与される一戦。11頭が出走し、1月3日にサンタ・アニタでサンタ・イネズ・ステークス(GⅡ)に勝ったセデュア Seduire が2対1の1番人気。
先手を取ったのは3番人気(4対1)のエンチャントレス Enchantress で、前走を逃げ切ったセデュアは主導権が取れず3番手から。しかしペースが速かったか、先行馬が総崩れとなる中、大外から鋭く伸びたのは、前半は後方3番手に控えていた8番人気(12対1)のバードアットザワイア Birdatthewire 、7番手から追い込む7番人気(11対1)のラスオブザモヒカンズ Lassofthemochicans に3馬身4分の1差を付ける波乱となりました。首差で5番手を粘ったテイラー・エス Taylor S が3着。一旦は内から先頭を窺ったセデュアは、直線では後退して7着敗退に終わっています。
勝馬と3着馬はデール・ロマンス師の管理馬で、優勝馬にはイラッド・オルティスが騎乗していました。バードアットザワイアはデビューから3戦は夫々3着、2着、4着と勝てませんでしたが、4戦目の前走11月29日にチャーチル・ダウンズで初勝利。この時も20馬身差を逆転勝ちで差し切り、これで2連勝でG戦初勝利です。彼女の父は2013年12月に日本で死去したベルモント・ステークス馬のサマー・バード Summer Bird 、同馬にとっても最初のステークス・ウイナーになりました。

土曜日の最後はテキサス州、サム・ヒューストン競馬場のジョン・B・コナリー・ターフ・カップ John B. Connally Turf Cup (芝GⅢ、4歳上、9ハロン)。メキシコ湾に面した競馬場で、ここで開催されるG戦はこれが唯一です。所謂ナイター競馬なので結果が入ってくるのはどうしても遅くなります。9頭が出走し、前走ホーソン競馬場のイリノイ産馬限定ステークス(バックス・ボーイ・ハンデ)に勝ったコールポート Coalport が4対5の2倍を切る1番人気。
そのコールポート、スタートから先手を奪うと、一時は後続を3馬身ほど引き離し、そのまま逃げ切り勝ち。3馬身4分の1差で3番人気(5対1)のトレース・クリーク Trace Creek が2着に入り、更に3馬身4分の1差で2番人気(4対1)のダディーズ・キッド Daddy’s Kid が3着と順当に収まりました。逃げ切りは久し振りに見たような気がします。
マイケル・メイカー厩舎、ミグェル・メナ騎乗のコールポートは、これがG戦初勝利となる6歳牡馬。ステークスは4歳時に2勝、去年は上記の様に前走にも勝っており、その前はルイジアナ・ダウンズでアンブライドルド・ステークス(一般ステークス)でも1着入線ながら進路妨害で2着降着になっていました。去年のトップ・オーナーに選ばれたケン、セーラ・ラムゼー夫妻の所有馬で、ここでも持ち馬が大活躍といったところ。

 

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